困惑
今日もS藤さんと呑む機会があったのだが、どうもこの人と呑むと
調子が狂う。自分が弱い存在で無力で儚いものであることは十分に
自覚しているはずなのに、それをことさらに振り立ててしまうのだ。
もちろん自分から意図的にそうしているつもりはないし、好き放題
言い放題の我輩がうまいこと誘導されているとも考えにくい。だが、
「それってこういうこと?」と切り返されると、何も言えなくなる。
自分を弱者の立場に置いて正論を展開するのは、我輩がよく用いる
卑劣なレトリックの一つである。これは相手の出鼻をくじき、また
自分の主張を認めさせやすい状況をなんとなく作り出す効果がある。
だがこの貧弱なガードはS氏の何気ない一言で瓦解させられ、素の
自分をさらけ出させる呼び水にしかならなくなってしまうのだから
会話というものは面白い。己の不完全さ、驕り、高慢を知らされる。
のぞむべくはかような刺激ある呑み、狂った我輩を矯めたしなめて
くれる理知的な大人、暴走する自分を諌めてくれるブレーキ、この
狂った価値観を共有してくれる同僚、ごく底レヴェルの『共感』。
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