Tuesday, July 28, 2009

取手

会社のトイレのドアが嫌いである。個室のドアではない。御手洗と
廊下の境界にあるドアである。このドアは廊下側から押す、つまり
内側からは引く構造になっていて、取手として丸い球がついている。

ドアにラッチはなく、単に押したり引いたりすれば開く。何が嫌い
かというと、内側から「引く」場合である。球が濡れていることが
往々にしてあるのである。取手である球がどうして濡れているのか。

考えるまでもなく、単純な話である。そこで用を済ませ、手を洗い、
ハンカチで拭いて、球を掴んでドアを引き、出て行く。この一連の
動作の中の、最重要なステップを省略している輩が居るに違いない。

せっかく拭いた手を、廊下に出てからさらに拭く。これが我輩には
不愉快である。何で濡れているか定かでないものを掴まされた感と、
まるで我輩自身が拭かない人であるかのように見える様が嫌なのだ。

ひどい時には、廊下から事務室に入るドアのノブまでもが、濡れて
乾いていないことすらある。そこで我輩は、ハンカチをしまわない
という作戦を編み出した。取手は、ハンカチ越しに掴めばいいのだ。

我輩は特段、潔癖症ではない。むしろズボラな部類である。環境の
不衛生さを憂いているわけでもない。拭く、濡れる、拭く、濡れる
という繰り返しがもたらす不愉快さに納得できないだけなのである。

Sunday, July 19, 2009

新作

ルービック博士の新作だと言う、新しいパズルを入手した。球体だ。
大きな球の中に中くらいの球があり、中くらいの球の中に小さな球。
小さな球の中には六色の珠があり、大きな球には同色の出窓がある。

小さな球には、珠が一粒だけ通れる大きさの穴が開いている。穴の
反対側には重りがついていて、軸を中心に回転する。つまり普段は
小さな球の開口部は、重力に従い、常に上を向くことになるわけだ。

小さな球の回転軸は、中くらいの球の内側までしか到達していない。
中くらいの球には小さな球と同じ穴が二つ開いている。小さな球を
うまく回転させると、開口部は中くらいの球の開口部と重ねられる。

中くらいの球は、小さな球とは違う軸で回転する。中くらいの球を
うまく回転させると、開口部は大きな球の出窓の部分と重ねられる。
想像の通り、中くらいの球にも開口部の反対側に重りがついている。

内部の球の回転には、介入することができない。操作ができるのは
一番外側の球を回すことだけである。一番内側の球は 360度以上は
回転しない。ヒントはそれだけだ。内側の球は重力で動作するのだ。

内部の球の開口部は小さいので、一度に通過できるのは一粒だけだ。
重力による動作を見切って六粒の珠を全て同色の出窓に導けば勝利。
もどかしいパズルであったが、二時間半くらい集中して、勝利した。

Tuesday, July 14, 2009

強運

セブンイレブンのことをセブンと略すかイレブンと略すか悩ましい。
それはさておき、コンビニなのにクーポン配ったり籤引をやったり。
会社の近くにできたので駄菓子屋感覚でよく利用するようになった。

籤引でガリガリ君が当たった。朝からアイスかよ、と思いながらも
ありがたく自席でメイルをチェックしながらガリガリ喰っていたら、
当たりだった。当たりの連チャン状態。今年の運は使い果たしたか。

降車

「今どこですか」と声が聞こえた。自分が話しかけられているとは
思わなかったので、本を読み続けた。すると「ここはどこですか」
ともう一度、聞こえた。ドア際に座り込んで疲労困憊の風情の男だ。

大きな荷物を片手で押え、眠そうな目をこちらに向けている。駅の
表示を確かめ「護国寺ですよ」と答えてみる。悪い人には見えない。
「池袋はまだですか」そう返してきた。思えばこれは終電であった。

護国寺に居ると言ったのに、池袋との位置関係を把握できていない。
彼は有楽町線に乗り慣れていないのだろうか。それとも疲労の余り
思考能力すら停滞しているのか。終電だ、寝過ごしたら戻りは無い。

「池袋で降りるんですね」と声をかけると、力なく頷く。月曜から
ハードな日々を送っているのだな、自分も人のことは言えないが…
と思いながら「わかりました」と宣言すると、彼は微笑んで、寝た。

Javadoc 再入門を四頁ほど読み進めると、もう池袋に入線している。
まだドアは開いていないが、この疲労状態だ、すぐには立てないか。
と思い、早めに肩を叩く。降りそびれたら可哀想だ。「着きますよ」

そこから彼の動きは俊敏だった。がば、と立上りドアに向かい歩く。
数秒も要さなかった。閉じているドアを叩いて「降ります」と言う。
ドアに向かって言っても仕方無い。やがて列車は緩やかに停まった。

彼は振り返り、さっきまでの脱力が嘘のように爽やかに「どうも」
と言うと、颯爽と降りて行った。だが我輩は見逃さなかった。彼が
降りた後、不安そうにきょろきょろと左右を見て戸惑っている様を。

やがて彼は無事に登りエスカレータの表示を見つけ、歩いていった。
その状態で乗り換えをこなせるかどうか心配ではあったが、自分も
降りるわけにはいかないし。何とか自力で帰れてくれたことを願う。

Sunday, July 12, 2009

増設

STB を増設した。これで入力が増えた。デジタル放送見ないんだが。
いや、重要なことは WOWOW がリビングから寝室に移動したことだ。
イニシャルもランニングも嵩むが、少しは早く帰るようになるかな。

Monday, July 06, 2009

配線

組み合わせることで力を発揮する小さなものたちが好きだ。彼らを
接続して血液ともデータとも言える信号を流し込むリンクが好きだ。
このターミナル上ではそれはパイプ、現実世界においては、配線だ。

新しいテレビ君は自分が何でも引き受けますよ、という姿勢だった。
赤白黄色の入力端子が4組もある。出力も一つついている。これは
組み合わせが楽しそうだ、ということで色々と試行錯誤をしていた。

さきほど汗をかき終った。配線図も OpenOffice の Draw で描いた。
忘れてしまう自信があるからだ。図面は Tgif が定番だったのだが、
今回 Draw 初挑戦だ。Tgif の代替にしては豪華で描きやすかった。

話を元にもどそう。実際のところ、映像信号は全てテレビに集めた。
全てと言ってもそんなに多くはなく、PS2 とヴィデオと PC の三つ。
着眼すべきは、今回の接続のためのケーブルを全て新調したことだ。

尤も、ヴィデオについては、これまで通りの赤白黄色の接続である。
新調したとは言えない。余っていた使っていない新品、を充当した。
どうしてケーブルが余っているのかについては、不問としてほしい。

アンテナ線も替えた。これまでのテレビは、同軸ケーブルを剥いて
金具にドライバで締める物体だったし、壁からテレビとヴィデオの
両方にアンテナ信号を供給したほうが、感情的にもスッキリである。

PS2 については、赤白黄色ではモヤっとした表示になった。字など
潰れて読めないものもあった。そんな時こそ D4 端子の出番である。
ゴツく太い、シールド厚め、フェライトデカめのケーブルを選んだ。

最後まで悩んだのが PC の接続だ。技術的に難しい悩みではなくて、
それを繋ぐかどうか、というポリシー的な悩みだった。実験の結果、
大画面で動画を観ると楽しい、ということがわかったので、繋いだ。

モニタ出力からはヘッドボード近くのアンプを経由してスピーカへ。
この部分は純粋に既設のラインである。これで、ベッドでぐったり
死体になりながらでも、色々なことができる。大変ハッピーである。

しかし、まだ挿してない口が一つある。RJ45 だ。どうしようかな。
挿そうかな。使わないかな。使わないんだろうな。でも、テレビに
IP アドレスを振れる時代なのだな。考えるだけで、それが楽しい。

Thursday, July 02, 2009

電影

白っぽい内容になると高速で振動し、絵も字もまったく判別できず、
表面は金魚鉢のように丸く、音声はモノラルで、小さい。長いこと
寝室用に置いていた 14" のテレビだ。本日、ついにお別れをした。

かわりに来たのは会社に置いているモニタより一回り大きな、液晶。
マニュアルもブ厚い。とり急ぎ must な動作だけ確認して安心した。
平日の昼間の地上波の番組なんて滅多に見ないので、それも新鮮だ。