轢殺
沖縄では梅雨が明けたようだが、未だ我が家の周辺では梅雨らしい。
気象庁的には梅雨かもしれないが、体感の感覚的にはもう夏である。
しかし、雨降りの中帰宅したところ、思いがけなく親分を見掛けた。
蝦蟇親分である。毎年毎年、一体どこに隠れているのやら。庭には
虫どもが居るだろうから、どうか端から喰ってほしい。と思いつつ、
跨いで通ろう…とした我輩の足の移動先に、親分が飛び跳ねてくる。
ちょっと待て、踏んでしまうがな。と思いつつ、重すぎる自重には
逆らえない。ゆっくりと、しかし確実に、柔らかい物を踏む感触が。
全体重を乗せ切る前に、かろうじて脚を上げる。大丈夫、生きてる。
危ないところだった。踏み殺さなくて済んだ。悪かった、蝦蟇親分。
これに懲りずに我が家の周りの害虫を喰ってくれたまえ。願いつつ
安心して家に入り、私用を片付けていると、嫌な物を見てしまった。
それは害虫の代表、Gであった。全く格好の悪い、茶羽根であった。
それは胴の真ん中を踏みつけられ、床にくっついていた。ゆらりと
蠢く触覚が最悪だった。今日は何か良くないことがあるに違いない。