真珠
エクセルシオールに初めて入った。ドトールとかプロントとかなら
抵抗なく入れるのだが、若い女性専用だろうという先入観があって、
客と見做されなかったらどうしようという被害妄想さえ覚えるのだ。
そんなわけで多少舞い上がってるなと思いながらも、単独だったら
絶対入らなかっただろう店舗に足を踏み入れた。無駄に緊張しつつ
どうせなら一番わけのわからないのを頼もうと天の邪鬼が顔を出す。
そして頼んだのがパール何とかラテ。「何とか」の部分が記憶から
既に消えている事実が痛ましい。しかし、その小難しい商品の名を
レシートにちゃんとフルスペルで書いてくれないことが問題なのだ。
必死で責任転嫁しつつ、飲んでみたその物体は…、非常に甘かった。
虫歯の人は噛めないほどに甘い大量のタピオカが底に沈殿しており、
完全に分離した中・表層部は撹拌されることを拒否しているようだ。
吃驚しながら混ぜて飲んだけど、そうすることが正しい作法なのか
判然としない。飲む側が好きに飲めばいいじゃないかと思う向きも
いるだろうが、ビギナーとしてはそういうところが気になるものだ。
名に冠しているパールとは、恐らくタピオカを真珠に見立てたもの
であろうと想像はできるのだが、その解釈が正しいという自信など
微塵もない。どちらかと言うと、打ちのめされる飲み物ではあった。
我輩が感じている「入りにくさ」は、作法や解釈がわからないこと、
名前が覚えられないこと、つまり既存のステレオタイプな日本人に
迎合しようとしない異文化との、言わば距離感であるように感じた。
新しい何かを受け容れられないとは、頑固者なのか加齢現象なのか。
いずれにしろ現代に生きる技術者としては、このギャップを適切に
扱えるよう、訓練と研鑽を積まねばなるまい。さぁ喫茶店へ行こう。